2月25日 雨の浅草とおでん

この3連休は寒かった。

週の初めはあんなに暑かったのに。暖かかったのではない。暑かったのだ。それなのに週末はもしかしたら雪が降るとまで言われ、結局雪にはならなかったがシトシトと雨が降った。

その日私は友人に誘われて浅草におでんを食べに行くことになっていた。遊びに行くには生憎の天気だが、おでんを食べるにはちょうど良かったかもしれない。天候が悪い分、いつもより人通りも少なく、開店5分前にお店に向かったら、一番乗りすることができた。

 

お店に入った瞬間から、ふわりと温かいお出汁の香りに包まれる。カウンター席に案内されて、お友達のお勧めと、いくつか気になったおでんを頼む。どれこもこれもしっかり味が染みていてじんわり幸せな気持ちになる。大根や白滝なども美味しいが、イカ天を考えたのはどこの誰なんだろう。さらりとしたお出汁がしっかり染みているだけでなく、揚げの油が逆に染み出してコクになる。おでんだけじゃなく、季節ものということで生牡蠣もいただく。ここ数年、生では食べてなかったので久しぶりの食感。生臭くなく、独特のクリーミーさ、歯応え、海の味。私も大人になったもんだと思いながら、美味しいおでんと、楽しい会話を楽しんだ。

 

早めにお店に入ったので、食べ終わってもまだ時間が早く、夜の浅草を少しだけ散歩。相変わらず雨が降っていたので傘をさしながら浅草寺に向かった。温まった身体には雨もそこまで辛くなく、むしろ景色の彩となった。夜になってますます人気の減った浅草寺は静かなぐらいだった。参道が艶やかに雨に濡れていて、そこに朱がよく映えていた。めずらしく日本酒まで手を出していた私はふわふわした気持ちで美しく様変わりした境内をながめ、そのまま手を合わせた。そういえば前に浅草寺でお参りした時も酔っていたな。いつも酔っ払っていてごめんなさい。と仏様に挨拶。

 

寒い2月の夜の楽しみ方としては、かなり上質だったと思う。

もう間もなく春。

(まれ子)