※3年前の文章に少し追記
Title02:さくらの花
誰もいない公園で、さくらの花が咲き誇っていた。まさに満開で、微かな風にそよいでいる。時折ハラハラと花びらが舞い落ちては、池の水面を彩った。その池をゆっくりと横切る二羽の鴨。水の揺れにあわせて光がキラキラと反射する。
あたりは静かで、聞こえるのは草木を揺らす風の音と、時折池で魚の跳ねる音、どこかにいるらしい小鳥達の囀り。そんな音がくっきりと聞こえるほど安らかな午後の時間である。
さくらの木を下から望めば、花の合間からは真っ青な空がのぞく。とても小さいけれど何よりも青く見える空だ。
今年も春がやってきたようだった。
たとえそこに人間が一人もいなくなっても。
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追記
コロナ禍で桜は満開でも町に人がいなかった頃に、このまま人間が全滅しても自然は変わらずに続いていくのかなって思って書いた文章。
実際は桜は人の手入れが必要な生き物なので、変わらないということはないと思うけど、観に来る人がいなくても桜は満開になるし、美しさもそこにあるんだなという感覚を残しておきたくて書いたおぼえ。
そういう「気持ち」が言いたいことだけど、できるだけ情景だけを書いて表現しようとしている、、、気がする(覚えてないけど、この文章を読む限りそうっぽい)